<クラウディングアウトとは>
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日々、不動産や税金、保険のご相談を承る中で、お時間があれば経済の解説まで及ぶ事が多くございます。
皆さまのお声で多いのは、テレビなどを見ていても難しい用語が出てきて、なかなか理解できない為、疑いなくそのまま受け取ってしまうというケースが多いようです。
経済用語の意味や内容を正しく理解しませんと、意図を持った媒体や間違った解説に誘導されてしまい、大事な判断を見誤る事が出てきてしまいます。
特に経済政策は、私たちの生活に直接関係しますので、正しく理解したいものです。
今回は「クラウディングアウト」について書きたいと思います。
クラウディングアウトとは・・
例えば景気対策で、国が追加的に事業を行おうとしたとします。
デフレ脱却の経済政策、いわゆるアベノミクス第二の矢「機動的な財政政策」です。
この事業を行うためにはお金が必要です。このお金を調達するために国債発行による借金します。
均衡している金融市場に国債を新たに発行するためには条件をよくしないと買ってもらえません。
すなわち金利を上げて買ってもらおうとします。
通常の経済状態なら金利に対する影響はさほどではありませんが、国債の発行があまりにも多かったり民間部門の資金が相対的に小さかったりすると民間の金融市場の金利までもが上昇してしまいます。
民間企業は銀行からお金を借りていますので金利が上がってしまうと新たな設備投資のためのコストが上昇してしまいます。
それでも十分な量の需要があれば設備投資による利益がコスト上昇を上回るので設備投資は抑制されませんが、もし需要が十分でなく設備投資のコスト上昇を利益であがなえないと思えば企業は設備投資をやめてしまいます。
せっかく景気対策のために政府支出を増やしたのに、その分民間の設備投資がひっこんでしまえば政府支出増加の意味がなくなってしまいます。
この一連の現象を「クラウディングアウト」といいます。
よく国債を発行するとクラウディングアウトになると主張される方がおりますが、デフレ期には絶対に起こりません。
なぜなら、バブルが崩壊して景気が悪くなると企業や個人は負債が残り、銀行に借金を返済するからです。
景気が悪くなっているのに、どんどん借金をして投資をしようと思う人は少なくなります。
借りる人より、返済する人が増えますから、民間銀行にどんどんお金が集まるのです。
借りる需要が非常に少なくなるので、金利が下がります。
企業の利益は投資にまわらず、借金返済にまわりますからGDPは下がります。
これが今日まで約20年間デフレで苦しんでる今の現状です。
事実として1995年、政府の負債は450兆円程で国債金利は3%を超えていました。
現在、政府の負債は1000兆円を超えましたが、国債金利は0.5%程です。
通常、借金が増えて成績が悪くなれば、国債金利は上がってしまうはずです。
しかし、実際は負債が2倍以上増えているのに金利は下がっている(日本国債の人気が上がっている)
これが事実なのです。
ですから、自国通貨建てで国が破綻することは100%あり得ませんし(まだ時々、日本は破たんすると言っている人がいますが・・汗)デフレ期にクラウディングアウトは絶対に起きないのです。
ようするに不景気のデフレ期には企業も個人も、積極的にお金を借りて仕事を拡大しようと思いませんから、変わりに国がお金を使って仕事をつくり、企業にお金を落とす、結果、雇用が増えたり、給料が上がったりして景気を良くしていくのです。
「デフレ期には公共事業を多いにやって、民間企業にお金を落とす」
国が使ったお金はどこかに消えるわけではなく国民の給料になるのです。
その結果、税収が増え、政府のバランスシートは改善されるのです。
日本は、世界一の災害大国ですから、今のうちに安全な国つくりをして、インフラを万全に整える絶好のチャンスなのです。
もし、クラウディングアウトになりそうなら、それは我が国が長い不景気の暗闇から抜け出し、国民も豊かになり「非常に良かった」という事になります。
そのときには緊縮政策をして引き締めたり、増税をして消費を抑えさえたりコントロールすれば良いのです。
正しい経済政策は、インフレ期、デフレ期によって異なります。
景気状況によって、使いわけないといけません。
○○が正しいや○○悪玉論に誘導されることなく、経済を正しく理解し、一般の方が議論できるようになったときに政治やメディアも正しい方向に行かざるえないでしょう。
そうなったときに我が国は健全で、国民も豊かになっておると思うのです。
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