<信用創造とは>

政治の場やテレビなどの議論の中で、それが正しい政策なのかを判断するのは、国民が経済知識を正しく理解することが必要なのであろうかと思います。

日銀の黒田東彦総裁が就任後の2013年4月、“異次元金融緩和”では、物価上昇率2%の目標を達成するため、マネタリーベース(資金供給量)を2倍にする、としていました。

しかしながら、マネーが溢れてる実感がなかなかないのではないかと思います。
理由は日銀がいくらお金を刷っても、民間銀行から企業に貸し出され、投資に回らないとマネーは市場で拡大しないのです。

その仕組みを「信用創造」と言います。

信用創造とは・・
銀行は、預金という形で大勢の預金者からお金を預かり、預金者がいつでも預金を払い戻せるように、現金を用意しています。しかし銀行は預金の全額を現金で用意しておく必要はありません。

預金の一部を支払準備として現金で手元に置いておき、残りの預金を企業への貸付に回すことができます。

企業に貸し出されたお金は、取引先の支払いにあてられます。支払いを受けた取引先は、通常の場合、銀行に預けることになります。銀行は、支払準備分を手元に残して、残りをまた貸し出しに回します。

これを繰り返すと、預金通貨というお金が新しく生み出され、銀行全体の預金残高は、どんどん増えていきます。これを「信用創造」といいます。

例えば・・
銀行が、預金者から100円を預かったとします。法定準備率を10%とすると、10円だけを現金で銀行に残し、残りの90円(元本の90%)をA企業に貸付けることができます。A企業は、銀行から借りたお金で、取引先であるB企業に支払いをします。

B企業はそのお金を銀行に預け、銀行にはB企業の預金90円が新たに作られます。銀行は、90円の90%である81円をC企業に貸付けます。

これを繰り返すことによって、はじめに100円だった市場のお金が100+90+81+72.9+65.61+59.049…=1000円というように拡大するのです。

この信用創造のしくみは、景気刺激策の効果を考えるのに、非常に大切です。新たに発行する10兆円のお金が、100兆円のお金に増えるかもしれないからです。

しかし、不景気やデフレ下では投資をしようとする企業はありません。
ですから、政府が投資して民間に仕事をつくることがひとつの方法になります。

政府が使ったお金は、どこかに消える訳ではなく、民間企業や国民の所得になります。

政府が10兆円使えば、国民の所得は10兆円増えるのです。常に国内ではプラスマイナスゼロになります。

国民の仕事が増えて所得が上がっていくと、景気が良くなります。景気が良くなると企業は銀行からお金を借りて投資にまわします。

先ほどの信用創造の仕組みでマネーは拡大していきます。

そうすると税金は自然増収で税収が増えます。

税収が増えれば、社会保障費やインフラ整備にまわすことができるのです。

国家経済は家計のやりくりとは全く考え方が異なります。
当然、無駄な予算編成はいけませんが、何でもかんでも削減はマクロ経済の勉強不足だと思います。
国家は非営利団体であり、利益を追求する必要は全くありません。

「適切な方法で税金を回収し、適切なところに投資していく」
いわばお金をまわして経済を成長させることが使命なのです。

個人の家計は貯金をして、節約をすることが大切であろうとは思いますが、国家経済は貯金をする必要も節約する必要もないのです。

国家経済は、国民に仕事と安心した生活を提供し、みんなが豊かで安全な幸福社会をつくっていくのが最大の役割です。

ですから家計の感覚で国家経済を見てしまいますと見誤り、さらに見誤った人たちで議論したり、政策決定をしていくと国家全体が貧困になり、解決が難しくなっていきます。

これを全体主義といい、間違ったスパイラルから抜け出せなくなります。

ですから、経済知識はイメージや感覚ではなく、正しく理解することがひとりひとりの為だと思うのであります。

  

  

 
 
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